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 新日本製鉄が、個人株主を味方につける空前の「囲い込み作戦」を展開している。約41万人の個人株主全員にアンケートを郵送し、なぜ新日鉄株を買ったのか、会社のどんな情報を知りたいかなどを徹底的に調べた。5か所の製鉄所では昼食付きの「見学ツアー」を開き、これまでに4000人を超える株主が参加した。

 世界首位のミッタル・スチールが昨年、世界2位のアルセロールの買収に成功し、鉄鋼業界は買収の脅威を肌身で感じている。もはや株主との協調は不可欠だ。そのカギは株主への情報開示にある。

 外資による三角合併では、買収される側の企業の株主は、現金ではなく、買収する側の外国企業の株を対価に受け取る。株主はいきなり、よく知らない外国企業の株主になるかどうか、M&A(企業の合併・買収)の当事者として決断を迫られる。海外の非上場企業はほとんどの人が名前すら知らない。いったい相手はどんな会社なのか、その会社の株はどの程度価値があり、どこで現金化できるのか、まず知りたい。

 三角合併を仕掛ける企業は、買収相手の株主に、〈1〉なぜ現金で買収しないのか〈2〉少数株主にどう配慮するのか〈3〉対価に受け取る株はどこで現金化できるか――など、新たに12の情報開示が義務づけられる。

 開示内容に不満を抱いた株主は合併に反対するか、承認しても、すぐに手にした外国株を売却する。多くの株主が一斉に株を売れば株価は急落する。「買収する側は株主の信頼を得るため、情報開示に努めるはず」(大手証券)という見方もある。

 しかし、開示項目は決まっても、「どこまで開示されるかは、実際にやってみないと分からない」(銀行のM&A担当者)。厳格な情報開示に慣れているのは、先進国市場に上場する一握りの企業だけだ。開示は日本語で行われるが、株主総会までに与えられる検討期間はわずか2週間。「名前も知らなかった企業の情報を、予備知識がある日本企業と同じ時間で分析できるのか」という声もある。

 「日本型預託証券(JDR)に関する上場制度を整備する」

 東京証券取引所は24日、預託証券の上場を打ち出し、対価の外国株の現金化が難しいという問題も、解決の糸口ができた。

 預託証券は、外国株をまとめて預かった金融機関などが発行する「預かり証」のようなものだ。株の売買単位などは国によって異なり、そのまま日本で上場しても売れない株も多い。日本市場にあわせた預託証券にして上場すれば、保有者(実質株主)は現金化しやすくなる。JDRは、三角合併の有効な対価となり得る。

 だが、大和総研制度調査部の横山淳総括次長は「本質的な解決策になるかは不明」とクギを刺す。上場していないJDRは非上場株と同じで現金化は難しい。決済の手続きも煩雑だ。

 合併相手の株主への譲渡益課税問題は、課税が猶予されないと、税負担を嫌う株主の反対で合併が破談になりかねない問題もはらんでいた。しかし、「準備会社との合併が繰り延べの対象。役所への許認可申請や広告宣伝などは、準備とみなす」とされ、株主の税負担は減ることになった。株主保護の仕組みは形の上では整ったかに見える。

 しかし、三角合併をめぐる制度整備の主役となった経済産業省の主眼は、外資を含めた産業再編の加速にある。経産省は少数株主の保護を求めた日本経団連に対し「反対株主は買い取り請求権を使える。合併前に株も売れる」と答えた。煩雑で個人投資家に不評の買い取り請求手続きは、ほとんど改善されないままだ。株主保護の観点から、三角合併を監視し、見直すのはむしろこれからだ。 
(
YOMIURI ONLINEより)

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