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経済学において、限界費用(げんかいひよう)とは、1つの工場、営業所等をとって、設備に変化がないとし、生産量をわずかだけ増加させたとき、総費用がどれだけ増加するかを考えたときの、その増加分を指す。市場においては、価格は限界費用と限界収益の一致点から導かれる。

 

生産量を q、総費用を K とすれば、限界費用は dK/dq である。固定費用を v1単位あたりの原材料費を u、賃金費用を賃金率 w と労働時間 l との積 wl とすると、総費用は [v + uq + wl] で、資本設備一定の短期の前提の下では減価償却費用など固定費用 v は一定、u と市場で決まる w は一定であるから、限界費用は u + w×dl/dq となる。新古典派経済学では収穫逓減の法則が働き、dl/dq は生産量の増大とともに増加すると考えて、U字型の費用曲線の右半分となるが、1930年代以後の大企業の現実は、収穫不変に近く、限界費用は、通常の操業度の下では一定に近い。

可変費用との関係

固定費用FC+可変費用VC=総費用TC

とした場合、固定費用は不変であるのに対し、可変費用は生産量を一単位増加させるたびに増加していく。このときの可変費用(あるいは総費用)の増加分は限界費用といわれる。

平均総費用との関係

固定費用FC/生産量=平均固定費用AFC

可変費用VC/生産量=平均可変費用AVC

総費用TC/生産量=平均総費用ATC

以上より

 

平均固定費用AFC+平均可変費用AVC=平均総費用ATC

とした場合、生産量を増加させていくにつれ、平均固定費用は減少していくのに対し、平均可変費用は一般に 増加していく。平均固定費用の減少分が平均可変費用の増加分を上回る間、平均総費用は減少していくが、平均固定費用の減少分と平均可変費用の増加分が等しくなったとき、下げ止まった平均総費用は最小となる。このときの最小の平均総費用は限界費用と一致する。

 

尚、平均総費用が最小となるときの生産量は効率的規模といわれ、完全競争の下での企業の生産量と一致する。

 (フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より)

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